給与について

会計事務所の給与水準について、次の6のパターンに分けてご説明いたします。会計業界のことを理解していないと、表面的な条件に惑わされ、判断を誤ることがありますので以下の情報を参考にしていただければ光栄です。なお、以下はあくまで一般論ですので個別の状況にあてはまらない場合もあることをご理解ください。

  1. 時給制での採用
  2. 正社員(未経験)
  3. 経験者の給与条件
  4. 大手事務所(100人~)
  5. ビッグ4
  6. 派遣スタッフ

【時給制での採用】 まず、時給制(アルバイト、パート)の場合について説明しましょう。税理士業界では、スタッフの相当比率が、時給制で採用されています。時給制だとフルタイムで働いても、年俸は、年間200万円ぐらいです。時給制のスタッフの場合は、社会保険にも未加入の場合も少なくありません。会計事務所のほとんどは、5人以下の小規模事務所です。小規模事務所の場合には、代表の税理士が顧客のすべてを回ることができるので、スタッフの主な仕事は、データ入力などの、付加価値の低い補助業務となります。こういった事務所が求めているのは、安い単価で会計ソフトへのデータ入力をたんたんとこなしてくれるスタッフなのです。時給制なので受験や家事と両立させるにはよいかもしれません。ただ、時給が改善することはまずありませんし、高い税務スキルを身につけることもできません。時給制の入力スタッフという仕事に慣れができてしまい、成長の機会を失ってしまう人もかなりいます。データ入力をして試算表と作るという仕事が会計事務所の仕事だと勘違いしまうのです。この勘違いが身についたら、修正するのは大変です。また、小規模事務所の場合ですと、担当を持たせてもらいたいと要望しても、顧客数が十分にないので、時給制の入力スタッフのままで据え置かれ、いつまでも正社員になれないこともあります。

【正社員/未経験】 次は正社員採用の場合です。未経験の方ですと、正社員でも年俸300万円ぐらいからスタートとなるのが一般的です(就業経験がないとそれよりさらに数十万は低くなります)。担当クライアントがもてるようになれば、事務所によっては、毎年20~40万円ぐらい昇給していきます。ただ、中小規模事務所(6人~19人)であっても、担当制をしいておらず、先生とその近親者がすべてのクライアントに直接に対応するという事務所ですと、担当者にはなれないので、入社後、昇給はあまり望めません。付加価値のある仕事ができないからです。この点は、入所する前にしっかりと確かめるべきでしょう。担当をまかされても、事務所によっては、数年で昇給が頭打ちとなります。付加価値の高い営業の仕事を任される機会が少なかったり、代表に事務所を成長させようという意思がなかったりするためです。

当事務所の場合、むろん、担当制をとっておりますし、事務所を拡大する予定ですので、長期勤務される方の貢献を高く評価しています。さらに、各種インセンティブも導入しています。新規のお客様は、税務セミナー等を通じて開拓しているので、一般事業会社のように飛び込み営業やテレアポ営業のような精神的ストレスのある業務もありません。

【経験者の給与条件】 経験者の場合には、経験に応じて報酬を上乗せして採用されます。当事務所でも、実務経験のある方は高く評価しています。

【大手事務所(100人~)】 基本的給与条件は実はあまり、中小規模の事務所と変わりません。ビッグ4並みに労働時間が長い事務所も少なくありませんので残業代を稼ぎたい人には向いているかもしれません。大手事務所は、組織が大きいので部門長という管理職ポジションがあります。部門長になれば管理者手当てがつきます。つまり長期的に勤めれば、年功序列的な報酬がもらえるということです。ただ、すでに序列がきっちりと決まっているので、上司を追い抜いて、部門長に抜擢されるには、相当の努力が必要です。技術的にもしっかりしいて営業的センスが抜群である必要があります。また、組織がしっかりとしているので、担当になるには、2~3年経験後となります。担当となっても、重要な事項は部門長の判断をあおぐことになります。部門長に実力があれば高い税務判断能力を身に着けることができます。

また大手事務所は、体育会系的なのりで残業が続いたり、宗教的ともいえる雰囲気をもっていたりする事務所も少なくありません。友人などのつてをたどって、希望の事務所の雰囲気を確かめておくべきです。ご自分との相性をよく検討されてから入所を決めるべきでしょう。

【ビッグ4】 ビッグ4の場合には、給与水準は数十万円から100万円近く、高くなります。報酬は高めに設定されていますが、毎日、深夜近くまでの激務が続きますので、受験と両立しなければならない方にはあまりお勧めしません。1日12時間以上、働くことは覚悟するべきです。企業再編、M&A、移転価格税制といった特定の税務課題だけに特化しているチームもありますので、特定分野のエクスパートになりたいというかたには向いています。ただ、総合的な力をつけて中小企業の経営指導をしたいという方には、向きません。中小企業を満足させるためには、オールラウンドプレーヤーである必要があるからです。法人税のみならず、所得税、相続税全般から、社会保険の知識まで広範な知識が求められるのです。また、ビッグ4での競争は熾烈です。高学歴でしかも会計士出身者のほうが有利です。昇進が遅れたものがのんびりと仕事をし続けられる環境にもありません。昇進が途中でとまったら、居場所はないと考えてください。

【派遣スタッフ】 派遣スタッフとして採用される方も増えています。派遣スタッフの場合には、お客が会計事務所に払う報酬の一定額がスタッフに支払われます。事務所によってスタッフへの還元率は変わります。あまりひどい条件であるために2チャンネルで叩かれている会計事務所もあるようです。派遣スタッフの場合には、給与が増額することはまずありません。お客が払う報酬に変化がないからです。多くの税理士は、派遣業務としての前歴に否定的です。派遣で同じ客先で2~3年間勤務すれば、経理や会社の経営の仕組みについて理解を深めることができますが、派遣スタッフとして顧客の経理部門にどんなに長く勤務しても、税理士としての顧客対応能力は身につきません。税理士としてやっていくのであれば、最終的には普通の会計事務所に就職するべきです。派遣業務経験では、あくまで、基礎力が養成できるにすぎません。

ちなみに、当事務所は、スタッフを顧客に派遣することは一切、実施しておりません。

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